ルート・シー インタビュアー |
碾茶(てんちゃ)は、抹茶の元になる茶葉とのことですが、 |
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安井 |
いえ、碾茶を飲む機会はほとんど限られています。 |
ルート・シー インタビュアー |
では、どのような機会に飲まれているのですか? |
安井 |
抹茶の品質を審査するときですね。 |
高木 |
ええ。 |
安井 |
一服大体1.8グラムですけど、もし手挽きでやろうとしたら、 |
ルート・シー インタビュアー |
抹茶だと時間がかかるので、碾茶で評価をするということなんですね。 |
高木 |
そうです。碾茶を飲んで評価しています。 |
安井 |
玉露、煎茶というのは、生の芽を摘んできて、 ところが碾茶は、石臼で挽いて、シャカシャカ立てて、 |
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玉露や煎茶に比べて成分が出にくいということでしょうか。 |
安井 |
そう、出にくいんです。 一方、碾茶は揉み込んでいないので、雑味が出ません。 |
ルート・シー インタビュアー |
試作品をいただいた時、確かにそんな感じがしましたね。 |
安井 |
茶道でも認められてなくて、流通もしてなかったので、 |
ルート・シー インタビュアー |
お茶屋さんしか知らなかった美味しさ… |
安井 |
抽出されにくいというのはあるんですけど、 |
ルート・シー インタビュアー |
確かに飲んでみても、雑味はないですよね。 この味なら、私たちなりに表現したかった「驚き」といったようなことも、 |
安井 |
もう一つ、贅沢さという面で、お話を。 抹茶というのは、石臼で挽いて、シャカシャカ立てて飲みますから、 それに対して、碾茶で抽出すると、 そう考えると、抹茶として飲むよりも非常に贅沢なんですよね。 |
ルート・シー インタビュアー |
そもそも飲む機会のほとんどない碾茶っていうのは、 |
高木 |
食べるお茶としては、一部流通してますね。 |
ルート・シー インタビュアー |
飲むのではなく、葉っぱ自体を食べる、ということですか。 |
高木 |
そう。茶葉が柔らかいんです。 |
安井 |
でも、消費者目線で見た場合、ほとんど見かけませんね。 |
高木 |
そうですね、高価ですから。 碾茶と、一般の露地ものと呼ばれる煎茶なんかとでは、 それと、覆いをするということでの良さ。 どんな作物でもそうだと思うんですが、手間をかければ旨くなります。 だから、なんで市場に出回ってないかというと、 あと、手間が…かかるんですね。 普段は、石臼にかかる分の大きさに揃えていくわけなんですが、 |
安井 |
手作業で。(笑) |
ルート・シー インタビュアー |
「篩(とおし)」というのは道具のお名前ですか、どういうものですか? |
高木 |
「ふるい」がありましてね。 |
ルート・シー インタビュアー |
はあー、すごい。 |
高木 |
手作業のものは、やっぱりうまいんです。 「ふるい」っていうのは、まあ網ですよね。 そういうことを、昔は全部手作業でやってたんですが、 |
ルート・シー インタビュアー |
確かに一旦セットしたら、そのままのイメージですよね。 |
高木 |
ある程度は設定できますけどね。 お茶をゴシゴシと網の上でこすって、潰していきながら。 |
安井 |
普段使わへん体使こて、ええ刺激になりましたね。 |
全員 |
(笑) |
安井 |
碾茶は特にしっかり出さな旨味が出し切られへんというお話で。 僕がサラリーマンの時にですね、取引先の役員さんに そうしたら、次にお会いした時、 今回の碾茶も、待ち時間はなかなか大変かもしれませんけど、 |
ルート・シー インタビュアー |
いいですよね、待ち時間も。 今回、お客さまにお持ちするために作っているわけですけど、 |
高木 |
正直、碾茶がうまいと感じて飲んでもらえるというのを、 |
ルート・シー インタビュアー |
すみません、素人が無理なお願いをして… |
高木 |
まあ、試験する段階では飲んではいたんですけど、 それにしても、昔から消費者にも碾茶が飲まれなかったのは、 |
安井 |
おそらく昔は、栄養源としてお茶が飲まれてたんですよ。 だから、石臼で挽くための碾茶を |
ルート・シー インタビュアー |
なるほど。 |
安井 |
ところが今、こんだけビタミン摂取の方法がある中で、 今の時代では、いろんな説明とか背景がくっついてこないと だから逆に、昔は罰当たりとか言われていたことが、 |
高木 |
今の時代みたいに、お茶に対して何を求めるのか。 だから、旨味だけが引き出される碾茶っていうのは、 |
安井 |
その不便さが嬉しさに変わるんですよね。 |
ルート・シー インタビュアー |
そうですね。 |
高木 |
あと、流通しなかった理由としては、「半製品」だったということですね。 そういうのって、見直してみると、結構あるかもしれないですね。 |
ルート・シー インタビュアー |
忘れられてた価値かもしれないですけど、 |
高木 |
そう言えば、湯葉って半製品ですよね? |
安井 |
そうですね。 |
高木 |
でも、高級品ですね。 |
全員 |
(笑) |
高木 |
碾茶も、やがてそうなるかな?(笑) |