Root-Sea

このたび、ルート・シーが日頃お世話になっているクライアント様や協力会社様へのささやかなお礼として、お茶をつくろうということになりました。その名も「Root-Tea:ルート・ティー」。オフィスでもお気軽にお楽しみいただける、ティーバッグの日本茶です。さて、何の変哲もなさそうに見えるこのお茶ですが、実はちょっとしたこだわり があるんです。
安井

江戸時代から続くある著名な和菓子屋の社長さんがおっしゃってたことですが、
伝統は、代々受け継いでいるものを守っていっても、
伝統にはならないらしいですね。
衰退するしかない、と。

伝統というのは、革新の連続。
時間が経って振り返って見た時に、
それが伝統になっているということでしょうね。

あの、「樂焼(らくやき)」って知ってはります?

ルート・シー インタビュアー

日本三大茶器といわれている「樂焼」のことですか。

安井

そう。
瓦職人の樂長次郎という方が千利休の注文に応じて作り始めたのが、
樂茶碗と言われるものになってきて、
その三代目が楽吉左衛門というんですけども。

樂美術館というのがありまして、
そこには、伝統的な楽茶碗が展示されています。

あと、滋賀県の方に佐川美術館というのがありまして、
そこに当代の樂吉左衛門さんの作品が展示してあります。
現代風の茶室もあるんですよ。

そっちには、樂さんの前衛的な作品ばっかりあるんです。
樂の殻を打ち破ろうとしておられるのが、すごく伝わってくるんです。
鳥肌ものです。

高木

伝統というのは、そういうことの連続なんでしょうね。

安井

はい。
先代の作品を超えるにはどうしたら良いかというのを、
日々考えておられるんでしょう。
そんなんが作品になっているんですが、
それがすごくスリリングです。

そういうことの積み重ねが、樂家の伝統になっているんじゃないのかな、と。
まさに先ほどの社長さんがおっしゃっていることにも
通じるなあと思うんですよね。

ルート・シー インタビュアー

私たちは、Webというすごく歴史の浅い業界で仕事をしているんですが、
お茶とか焼物とか、昔からずっと続いている世界の方は、
歴史や文化についてものすごく研究しておられて、すごいなと感じています。

安井

最近のWebの世界は、フラットデザインが主流になってきてるんでしょう?

ルート・シー インタビュアー

そうです。よくご存知ですね。

安井

あれは、余白をうまく使わないと綺麗に納まらないんですよね。

その余白の使い方がどこで生まれてきたかというと、
日本美術史では、狩野派・狩野探幽が、
余白を上手に使った技法を確立したと言われています。

この作品で確立したという絵(※雪中梅竹遊禽図襖)があるんです。

名古屋城の襖絵だったと思うんですが、
立派な梅の木が画面右からせり出してきて、枝が左下に向かっている。
幹には雪が積もっています。

左の方に鳥が飛んでいて、その目線がね、枝の先を向いているんです。
その間に、大きな余白があるんです。
鳥の目線が枝の先につながっているだけで、すごく緊張感が出てましてね、
余白が生きてるんですよ。

その作品で、余白を使った技法が確立されたと言われているんですけど、
それが、Webデザインの最近の技法に生かされてると思うと、
面白いですよね。(笑)

ルート・シー インタビュアー

今回、お客様にお配りするものは、どんなのが良いかなと考えていた時に、
お客さまに何か持って帰っていただいて終わりということじゃなくて、
職場に戻られた後、同僚の方に配って欲しいとか、
それを会話のきっかけにして欲しいとか、そういうイメージはありました。

そういう用途に、ティーバッグのお茶なんかぴったりだと思ってたんですが、
出来上がってきたのが、碾茶というエピソードに事欠かないもので。

お湯の温度を調整したりとか、味が出るまで待たないといけないとか、
そういうプロセスとか、体験が良いなと思いますね。

安井

手間が面白いんですよね。

ルート・シー インタビュアー

そうですよね。
仕立てられるのは、大変でしょうけど…。

全員

(笑)

ルート・シー インタビュアー

先ほどもおっしゃられていましたが、機械じゃできない作業なんですよね。
それは、専用の作業場で仕立てられるんですか?

高木

そうです。普段はやらないです。
普段は、効率という面も当然考えないといけませんので。

でも、効率を求めていくと、手作業の良い部分は失われてしまいます。
さっきの安井さんの話のように、革新の連続でやっていくとしたら、
機械にも革新が必要なんでしょうね。

機械に対して、手作業の理論をしっかり入れていくことができれば、
機械も進化させていくことはできると思います。

でも、やっぱり、人が作り出すものには勝てない。
究極には、そういうふうに思います。
どのお仕事を見ても、人が作っていくものが一番素晴らしいでしょうね。

デザインでもなんでも、機械はいろんなことできますけど、
考えるのはやっぱり人間ですから。
最高のものを作ろうとすれば、人間の役割がものすごく大事です。

ルート・シー インタビュアー

はい

高木

あとは、ベースがしっかりしていること。

変わっていける部分をどんどん変えていっても、
ベースがしっかりしていれば、本物ができてくるんだと思います。

碾茶というぜいたく品
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